中編

ばく
2ページ/10ページ





想いを告げたのは私からだった。
強く、強く惹かれた。
彼の男っぽい雰囲気に。
…なんていうんだろう、彼は時々獣っぽい目をする。
きっと、彼自身気づいてないんじゃないだろうか。
前にクラスの子らにそう話したら、笑いとばされた。
確かにすっきりした彼の容姿からは、獣なんて結び付かないのかもしれない。
でも、私だけは気づいてた。

彼の奥底にある、獣の気質。


彼を振り向かせる為なら、何でもした。
昔から、相手を夢中にさせるのが私は得意だった。
彼の好きなもの。
好きな場所。
好きな時間。
いろんな共通の話題を調べて近づいたけど、何より効果的だったのが…


彼の友人。
工藤政生(クドウマサキ)

柔らかい物腰と、いつも困ったように浮かべる笑顔。
対照的な存在なのに、いつも彼の側にいた。
だから、彼の友人も取り込んでみようと思った。

その結果、ようやく私は彼の彼女になれた。

その特権の為なら、オマケみたいな友達と仲良くしてあげるなんて簡単。
映画や彼の試合の応援、いつも誘ってあげた。
そんな私の友人への態度は、彼を喜ばせたみたいだ。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ