短編

コンビニ
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「…は?意味わかんねんだけど」

俺は、声を荒げて携帯に向かって言った。

『…だから…ごめん』

3回目の同じ台詞に俺は苛立ちながら、飲料が置かれた棚から荒々しく缶コーヒーを取り出した。

付き合って一年になる悟(サトル)から急に切り出された別れ話は、俺を憤怒させた。
セフレの女を送ってここに立ち寄った時、携帯が鳴ったのが始まりだった。
俺のアパートから徒歩3分足らずの、コンビニで。

口説いたのは俺からだが、ハマったのは悟だと、今の今まで思っていた。
だから自分の今までしてきた仕打ちは棚上げにして、怒りをそのままぶつけた。

「ごめんじゃねぇだろ。理由を言え」
『俊弘(トシヒロ)…僕』
「なんだよ」
『…』
「言えって!」

ばん、と勢いよくガラス戸を閉めた。
隣で飲料を選んでいたらしい若い男が、驚いて俺を見たが、構いやしない。

とにかく苛立っていた。

『……好きな人ができたんだ』
「はァ?」

思わず笑い混じりの声になった。
手にしていた缶コーヒーを、荒くもてあそぶ。

「…んだよそれ」


冗談だろ、と思った。

恋もヤり方も俺が教えた。
タメなのに全てが未経験で、まっさらだった悟。
俺以外の奴を好きになるなんて、ありえなかった。
あってはならなかった。




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