短編

遠距離な恋人
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「あれ春希(ハルキ)、今日は地元帰らんの?」


ここに住んで二年目の冬が始まった。
暗くなった帰り道、同じ専門学校の友達が尋ねてくる。

「ん…この時期忙しいし」

春希は一言、そう短く答えた。


友人と別れて雪を踏み締め、家まで歩く。

今日は週末。

夜の町並みは、前日の雪が積もったままだというのに浮かれた若者だらけ。

うざい…

道を塞いで歩く若者達を毒づきながら、深い黒色の寒空を見上げた。
また雪がちらつきそうな空。

昨日、電話で喧嘩した。


『明日、もう行かないから』

怒りに任せて口走った自分。
電話口からは、小さな溜め息。
それと、颯太(ソウタ)の冷えた口調。

『そうかよ、わかった』

そのまま切れた電話。

颯太は地元、春希は東京の専門学校へ。
…遠距離になって2年、いい加減しんどい会えない日々。
先週は会いに来た帰り際、互いの進路をどうするかで喧嘩した。
今回は、たわいもない事から電話で喧嘩になった。
最近イライラして、喧嘩ばかりだ。
今日は、自分が颯太に会いに行くはずだった。
なのにつまらない意地を張ったまま、こうして一人、雪道を歩いてる。
意地っ張りな自分は、電話だと言いたい事が半分も伝えられない。
仲直りの方法もうまい事見つからない。だから、いつも後悔する…




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