短編
□泣かせてみたい
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俺、小田 潤(オダジュン)があいつ…鈴木 雅人(スズキマサト)の気持ちを知ったのは、たまたま偶然だった。
雅人とは、中学生から高校2年の今に至るまでの付き合いで。
気付いたらしょっちゅう互いの家に遊びに行く位、気が合う友達だった。
「……ん?」
本当に、偶然だった。
高校二年の熱い夏。
…その日も、いつものように雅人の家に遊びに行った俺は、偶然ベット下に横になってて、偶然小さなアルバムを見つけた。
雅人は、この暑さでアイスを買いに行ってくれてて、これまた偶然…俺は1人で。
ハガキサイズのアルバムは、綺麗な水色の表紙をしてて、なんとなく大事に閉まっておいた感があった。
俺と違って几帳面な雅人の部屋は、アルバムのスペース1つも本棚に収められている。
…なのに、隠すようにベット下に置かれたこのアルバムには秘密の匂いがして、思わず俺は表紙を開いていた。
エロがらみだったら、思い切りからかってやろう…なんて軽い気持で。
「……」
そうじゃなかった。
一枚目に飾られた写真の人物は、俺がよく知っている相手で、俺は絶句した。
「……マジかよ……」
なぜならそれは、まぎれもなく俺の中学の写真だったからだ。