中編

ばく
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なんとなく、それは女の勘…



「悠ちゃん?」
「ん…なに?」

何回目だろう。
私の家で、テレビがついた画面に顔を向けながら、彼はまた意識を飛ばしていた。
呼び戻されて我に返り、少し困ったような目をしている。


彼はいつものように部活後、私の部屋にやって来た。
会いたくて私が呼び出したのだ。
付き合って半年、それが当たり前の私の特権。

「ね、疲れてるの?」

なんにも知らないような声と目をして、私は彼を見上げた。
なんにも考えてないように見せて、彼を探る。

夏という季節を利用して、私は柔らかな身体を見せつけるキャミワンピを着ていた。
そっと肩に身体を擦り寄せ、甘えるようにじっと見つめた。
彼によく見えるよう、愛らしく思われるよう、付け睫毛がついた私の目で。
彼も私を見ている。
飾りをなんにもつけてないのに切れ長で澄んだ、私を惹き付ける魔法の目で。


でも、見つめあっても、なんにも見えない。
そこには欲も熱も、潜んでないってわかった。


それでも私は、自分から彼にキスをする。
なんにも気づいてないふりをして。





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