RUN!
□season2
1ページ/108ページ
「ふぁいと〜」
マネージャーの掛け声。
ついこの間まで桜の花びらが舞っていたが、今は強まり始めた春の日差しがグラウンドを照らしていた。
風を切る音が聞こえるような動き。
春の暖かい日差しを受けながら、走る。
背中はあっと言う間に遠のき、見えなくなる。
「ほぇー。相変わらずマッキーの走りはすげぇな」
吉沢の感嘆の声を耳で聞きながら、俺は牧の背中を眺めた。
相変わらずなんかじゃない。
毎日毎日、走れば走るだけ、牧の輝きは増す。
それに比べて俺は…
小さくため息をついた。
タイムが伸びない。
フォームも崩れやすい。
何が悪いのか、もうそれすらわからない状態。
正直、苦しい。
もどかしさを感じながら、俺は3年になった。