中編

悪い夢
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舌を絡め合い、恍惚の表情をする…男2人。
絡み合う肌は、男なのになまめかしかった。

「漫画じゃ物足んなくて、最近じゃこれが流行りなんだよね」

俺と中里が呆然としてるのをよそに渡がえへへ、と笑う。

「…悪趣味だな、おまえ」

先に雑誌から離れたのは、中里だった。
俺も慌てて雑誌を閉じる。

「本当…すごいものが流行ってるね」

俺の苦笑と一言で、この話題は追いやられて終わった。

けれど俺は、キスシーンや絡み付くように抱擁をしている2人の姿が、なぜだか目に焼き付いて離れなかった。

××××××


『舌、出せよ』


口唇が触れ合う距離で囁かれた言葉には、絶対的な征服力があった。
俺を見下ろす瞳は、見慣れた色素の薄い茶色。
言われるがままさし出した舌先に、熱い舌が絡みついてくる。
それは全てを奪い取るかのように、激しい。
俺の首筋を滑る指が、鎖のように自由な動きを許さない。
口腔内を蹂躙されて、俺は甘い声をあげた。


『ン……ゥ……』


熱い吐息と、唾液の音と。


欲情に包まれた……

中里の、瞳。




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