中編
□ばく
3ページ/10ページ
「ぁん……悠ちゃぁん」
めいいっぱい、甘い声をあげる。
彼が私を揺すぶるたびに、私は彼にぎゅっと絡まる。
日に焼けた引き締まった身体。
うっとりしてしまうほどの気持ちよさ。
抱かれてると、彼は私のものだって思える。
さっきみたいな遠い目も、おざなりなキスも気のせい。
だって、彼は私の奥を探っても、まだ足りないみたいに深く求めてくる。
貪欲に、繋がって、攻め立ててくる…
行為が終わった後、私は夢見心地に彼の髪を撫でた。
シーツに二人くるまって。
彼の寝顔を見ていた。
幸せ。
私が望んだ獣が今、目の前で眠ってる。
「ん…」
そっと頬を撫でると、彼は身動ぎして、私の手を捉える。
瞳は伏せられていたけど、その手は私の手をしっかり絡め、そのまま引き寄せる。
強く抱き寄せられ、目を閉じた。
「……う」
耳元で、小さく呼ばれた。
聞こえた言葉に私が眉を寄せていると、そのまま顎を上向かせてキスされた。
「ん…っ」
徐々に激しくなる舌の動きに応えながら、薄く目を開ける。
調度目を開けた彼の瞳は、見た事もない艶があった。
だから、聞こえた名前は気のせいだと思う事にした。