銀魂

□別たれる事無かれ
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その日は、よく晴れていた。
しばらく雨が降っていないせいで、空気は乾燥していて爽やかな暑さだ。
気温はかるく30度を超え、立っているだけで汗が滝のように流れる始末だった。
そんな中、近藤を先頭にした真選組が、巨大な倉庫の前にズラッと並んで立っている。
誰一人として口を開かず、ピリピリとした緊張感が空気に満ちていた。
程なくして、先頭に立っていた近藤が空気を大きく吸い込んで愛刀を掲げ上げる。
「総員、突っ込め!!」
吸い込んだ息を全て出す勢いで怒声の合図を上げた。全員がその時を待ち望んでいたかのように、
『うおぉぉぉぉぉっ!!』
と怒号を上げ、攘夷浪士のアジトである倉庫へと突進していく。
「真選組だァァァ!!おとなしく捕まりやがれ!!」
真っ先に切り込んでいった土方が叫ぶと、中にいた浪士達がいっせいに斬りかかって来る。
「ちっ・・・!」
自慢の刀を振って目の前の巨漢を切り捨て、その後ろから迫っていた男も切り殺す。
土方の後ろから飛び込んできた沖田が「土方さん、退きなせェ」と鋭く叫び、
バズーカを構える。キュイン、というエネルギーを充填する音が聞こえ、土方は即座にその場にしゃがむ。
その真上をバズーカの弾が飛んでいき、奥にあった金属の扉を吹き飛ばした。
「てめぇ、総悟!!言うんならもっと早く言え!」
僅かに遅れた髪の毛を焼かれた土方が、青筋を立てて敵を斬りながら叫ぶ。
沖田はバズーカを投げ捨てて刀を振り回しながら、楽しそうに「知りやせんぜィ」と叫び返した。
「全員抑えろ!一人として逃がすな!」
近藤の怒声は隊士達の士気を煽り、広い倉庫内が絶叫と怒声、火薬と血の臭いに包まれる。
「土方さん、奥行きやすぜィ!!」
「あぁ、分かってる!」
沖田が破壊した扉の奥に、まだまだ浪士達がいるようだった。
二人は後に続く仲間のための突破口を作るために、その敵の真っ只中へ飛び込もうとする。
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