中編・短編集
□ポッキーゲーム
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エル×葵で、甘々。
「エル!ポッキーゲームしよっ!!」
「はァ? ンなことして、何が楽しィンだよ?死ね」
「えぇー…そういうこと言っちゃう?」
付き合う前は、あんなに恥ずかしそうにしてたのに。
思いつつ、項垂れる。
うぅっ…昔の純情っ子エルたんはいずこにぃ…!
「うー…もういいもん…」
もういじけちゃうんだからぁー…。
そう言いながら、エルに背を向けて、ソファーに寝転がる。
目の前にひろがるのは、うすいブラウン色のソファーの生地と、開封されてないポッキーの箱。
パッケージには、11月11日はポッキーの日!とでかでかと書かれている。
こんな日くらい、いちゃついてもいいじゃんさぁー…。
ぶつぶつと文句を言っていると、影が出来た。
足音もなく立つなよぅ…。
「…オィ」
「……」
「…葵」
無視してると、名前を呼ばれる。
肩がビクリと揺れた。
あーもう!名前呼ばれただけで何で喜んでんの私!!
確かにいつも、お前とか馬鹿とかしか呼ばれないけどさぁ!!
「…なにさ」
って何返事しちゃってんの私ぃぃっ!
まぁ、振り向いてはないんだけどね!!
「こっち向け、葵」
「へ? って、ちょ…!?」
ギシッ…って音がして、慌ててエルがいるであろう上を向く。
目が合う前に、顎をその長い指であげられる。
視界をうめるのは、綺麗な白銀。
ちゅ、なんて、可愛らしい音がして。
瞬きをした瞬間、血のような赤い切れ長の瞳に、囚われた。
「ぁ…///」
自分の顔が赤くなっていくのがわかる。
思わず、両手で頬を挟むようにおさえようとした。
が、その手は頬に触れることなく、エルにつかまり頭上で一纏めにされる。
え、ちょ、ちょおぉぉぉっ!?
待って!マジ待ってどういう状況!?
「ぇ、エル…?///」
「キス、…したかったンだろ?」
「ち、ちがっ…!私がしたかったのはポッキーゲームで…!」
「キスするためにするンだろ?…お前がそォ言った」
た、確かにそう教えたけどさぁ…!!///
「俺さァ…甘いもンって好きじゃねェの」
「し、知ってるよ…?」
唐突に、甘いもの好きじゃない宣言をされる。
「でも、さ」
す、っと首に顔をうずめられて。
「お前だったら、…葵なら、甘くても食ってやるよ」
耳元で、熱い吐息とともに囁かれた。
その後、美味しくいただかれたかどうかは、ご想像にお任せします☆
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