いただきものor捧げもの
□タイトルううううう
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保健室。
保健教師−−鳳凰飛鳥は、ひどく苛立っていた。
長い銀髪をポニーテールにした彼は、その長い指でトントンと机を叩く。
彼にしては珍しい、無表情で。
そんな近寄り難い雰囲気を纏った飛鳥の向かいに座るのは、鈴科影人。
彼の教え子で−−元教え子のあの青年の弟だ。
鈴科、と書かれた名札に目をとめ、また苛立たしげに机を叩く。
「余裕ないですね、先生。何かありました?」
「…何もない。というか、何故ここにいる」
「僕ですか?僕は人生相談をしに」
「お前以外に誰がいるんだ…。 もう授業が始まっているぞ」
「知ってます」
「はぁ…もういい好きにしろ」
軽い口での応酬。
折れたのは教師である飛鳥だった。
ため息をつく飛鳥を、しかし影人はとくに表情を変えるでもなく見つめている。
穏やかな微笑み。
けれど、彼が纏う空気は飛鳥に負けず劣らず重い。
飛鳥が不機嫌を纏っているなら、影人は殺気を纏っているようだった。
「先生」
「…何かね、影人くん」
「昨日、僕の兄貴と何かありましたか?」
「……」
言葉と共に、机を叩く音が止まる。
影人の兄。
つまり、かつての教え子であった鈴科エルその人である。
「……何もn」
「あったんですね、やっぱり。何したんですか」
「いや、だから私は何m」
「何もしてないわけないでしょう兄貴泣いたんですよ俺の胸で」
「あれ何で一人称変わってr……泣いた?」
「えぇ、泣き声おし殺して俺の胸で。可愛かっt…げふん。
慰めるの大変だったんですよ、兄貴も僕のも」
「唐突な下ネタやめろ。その話、詳しく教えt」
がたっという音がしたと思えば、首筋に小さな痛み。
眼前には、超いい笑顔の影人。
その手には、コンパス。
「等価交換だぜ先生。昨日何があったのか全部吐きな」
「は、い…」
飛鳥がブラコンの恐ろしさに戦慄したのは言うまでもない。
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