中編・短編集
□さぁ、みんな。
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「ろーるぷれいんぐげーむ?」
「そ、RPG。"体験版"だけど、やってみる?」
そう言って見せられた、巨大なモニターと、一人用の、
「・・・ベッド?」
「ほら、こーいうゲームって、起きるとこから始まったりするから」
そうなのか?
促されて、とりあえずベッドに横たわる。
あ、ふわふわだ。
というか、
「ゲームって、寝ながらするものなのか?」
俺が問うと、モニターの前に立った神殺は笑った。
そして、言う。
「言ったでしょ?"体験版"だって、さ♪」
瞬間、手足に力が入らなくなる。
「な、」
驚いて、モニター前にいる彼を見ようとする。
が、体から力が抜けていて、微動だにできない。
そして、意識さえも無くなりかけてきたとき。
「おやすみ、黒狼。・・・いや、」
耳元で、囁かれるように。
「いってらっしゃい、勇者様」
そんな言葉が、聞こえた。
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