中編・短編集
□すべて吐き出してしまえば
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「げぅ、ぁ。かはっ・・・」
初めて、ヒトを殺した。
血が、声が、姿が。
脳に焼き付いて、消えない。
ぶよぶよとした肉の塊が、靴底にこびりついてる。
もう聞こえないはずの断末魔が、突き抜けるように鼓膜に鳴り響く。
指から肩にかけて、肢体を斬り落とした感触が痺れとなって駆け抜けている。
己が吐き出す嘔吐物さえ、誰のものかわからない血が混じって見える。
言い聞かせろ。
ココは、戦場だ。
だから、殺してもかまわないンだ。
大丈夫。
俺は、何も、悪くない。
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