中編・短編集

□交わる牙
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「ねぇ、そこのお兄さん」
『…あァ?』

契約主の許しを貰い自由に人間化出来るようになり、俺は日々、それはもォ好き勝手していた。
自他ともに認める戦闘狂である俺は、大抵は天人に喧嘩をふっかけて毎日遊ンでいる。
そのおかげで、そこそこに「殺戮機械」として名を広めた俺は、いい加減、弱い天人狩りに飽きてきた。
ブラブラと夜のネオン街を歩いてると、一匹の兎が、声をかけてきた。
振り返ると、そこには笑顔を張り付け俺を見る男。
−−神殺みたいだな。
あの、人を惑わす笑みを思い出して、一人苦笑する。

『俺に何の用だァ? うさぎさン』

男が手にするのは、傘。
神楽と同じ、夜兎の証。
それでも、目の前の男は神楽とは違った。

「君が、殺戮機械かな?」
『俺的にはもっとイカした名が良かったンだがな。ヒヒッ』

血の、匂い。
そォだ。
この男からは、血の匂いがする。
俺と同じ、 戦いを好み強さを求める、血の匂いが。

「!」



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