とある魔術の禁書目録
□解かれた鎖は
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上条と別れ、マンションの一室に戻ってきた慧琉は、部屋の中に誰かがいるのに気付いて電気をつけた
金色の髪に、紫の混じった碧い目をした男性
男性は、部屋を出る前に慧琉が横になっていたベッドに腰かけていた
『やぁ、g科慧琉。 そろそろ状況が掴めたかな?』
『…カミサマ』
カミサマと呼ばれたその男性__名をアンノウン=ストーリーテラーという__は、薄く笑った
慧琉はぼんやりとアンノウンを見る
『状況。 …よく、わからないけど』
『違和感を感じている、と?』
自分の思っていた通りのことを言うアンノウンに、慧琉は頷く
そうして、薄い唇を開く
『俺はこの世界にいるけれど、元からいたわけじゃないんだろ』
その言葉に、ノウンは愉快そうに目を細める
そうして大仰に両手を広げた
『そう、ここは私や卿にとって…異世界だ』
『……異世界、? 本当に何でもありだな。カミサマ』
無表情に徹していた慧琉がシニカルに笑う
慧琉がアンノウンのことを カミサマ、と呼ぶには理由があった
彼には実体がなく、そして不思議な力を持っているからだ
今回のことも彼の力のせいか。とぼんやりと考える
『元いた世界は? どうなったんだ』
『崩壊し、消滅した。 世界は終焉を迎えたんだ』
『ならば何故、…俺は生きている?』
アンノウンは真意の読めない笑みを浮かべて言う
『神の加護さ』