とある魔術の禁書目録

□解かれた鎖は
1ページ/2ページ








上条と別れ、マンションの一室に戻ってきた慧琉は、部屋の中に誰かがいるのに気付いて電気をつけた

金色の髪に、紫の混じった碧い目をした男性

男性は、部屋を出る前に慧琉が横になっていたベッドに腰かけていた

『やぁ、g科慧琉。 そろそろ状況が掴めたかな?』

『…カミサマ』

カミサマと呼ばれたその男性__名をアンノウン=ストーリーテラーという__は、薄く笑った

慧琉はぼんやりとアンノウンを見る

『状況。 …よく、わからないけど』

『違和感を感じている、と?』

自分の思っていた通りのことを言うアンノウンに、慧琉は頷く

そうして、薄い唇を開く

『俺はこの世界にいるけれど、元からいたわけじゃないんだろ』

その言葉に、ノウンは愉快そうに目を細める

そうして大仰に両手を広げた

『そう、ここは私や卿にとって…異世界だ』

『……異世界、? 本当に何でもありだな。カミサマ』

無表情に徹していた慧琉がシニカルに笑う

慧琉がアンノウンのことを カミサマ、と呼ぶには理由があった

彼には実体がなく、そして不思議な力を持っているからだ

今回のことも彼の力のせいか。とぼんやりと考える

『元いた世界は? どうなったんだ』

『崩壊し、消滅した。 世界は終焉を迎えたんだ』

『ならば何故、…俺は生きている?』

アンノウンは真意の読めない笑みを浮かべて言う

『神の加護さ』




 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ