ハイキュー

□第3セット
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ビー

試合開始の笛が鳴る

「「「「「「おねがいしあ――ス!!!」」」」」」

「おっ丁度始まりますよ!大地さん!スガさん!!」

「おう」

「おー元気なの居るな」

そこには、高校生の姿が

「でも何で中坊の試合なんか・・・」

「王様≠見に来たんだよコート上の王様!」

「王様?」

目的は影山のようだ

『流石と言うかなんと言うか……』

注目の的、ってことかな?

「ぅはぁっ!!」

「どうした?」

「ちょ、だ、大地さん!スガさん!!
あそこ、あそこ、!!」

坊主頭の"龍"と呼ばれる男子高生が麗奈を指差す

「「あー…麗奈」」

「知り合いっすか!?
羨ましいっす!!!」

「「でしょ/だろ」」

『ん?あ!』

麗奈は、高校生が誰なのかに気が付く

『スガさんに大地さんかぁ………』

麗奈は何かに納得する

「(俺は確かにチビだけど、この脚がある!!)コージー!」

「(俺かよ〜っ)い゛っ」

「やったっ!上がったっ!イズミン頼む!」

「よっしゃ!(北川第一のセッターみたいなトスはできないけどっ)」

「(この脚でどんな壁も飛び越えてみせる)」

「行けえ翔ちゃん!!!(痛ぇっ)」

「(どんな壁も!!)」


《まさに小さな巨人!!》

――そう テレビのアナウンサーが叫んでいた

《春の高校バレー全国大会!!》

それは高校バレーの大きな大会で

テレビ画面に映っていたのは

鳥≠ニ名のついた黒いユニフォームを着てコートを飛回る

小柄な選手の姿だった

昔っから「背の順」で前の方だったおれは

小さな巨人≠ニいう言葉にとても惹かれた

バレーのルールもよくわからないのに

その小柄な選手の活躍を夢中で見ていた

こんな風になれたらカッコ良いなとおもった

「翔ちゃんはやくーっグラウンドとられる!!」

野球もバスケもサッカーも大好きだったけど

あの選手の姿が目に焼きついていて中学ではバレー部を選んだ 

でも

「えっ!?部員・・・おれだけ・・・ですか・・・?」

「うん 年々減ってね〜」

「はァ」

「あ それと、男子バレーは部≠カゃなくて愛好会≠ヒー
どうする?他の部に変える??それか―・・・女子に混ざる?」

「!?そ それはチョット・・・ひっ1人でもやりますっ」

「そぉ?」

「小さな巨人≠ノなります!!」

「え?何に?」

体育館の隅っこ、グラウンドの隅っこ、

「!誰だアイツ!?」  
「おい危ねー!」

渡り廊下

「アッちゃん!部活終わった??おれとパスやって!」

「!またァ!?つーか待ち伏せやめろ!!」

「!!まっまっすぐ飛んだっっ!」

最初はうまくいかなかった

でも、成功した時の嬉しさは半端なかったから、続けられた

「ねぇまだやんのー!?腕痛いし球思った方に飛ばないしもうヤだよー!」

「お願いもう一本だけっ」

「お前さっきも「もう一本だけ」って言ったよ!ホントに最後だからな!!」

「あざーす!!」


「なあ日向ーお前男なのに女子バレー部なんだって??」

「ちっ違ぇよっ!!」

「誰が目当てなの??」

「3年に美人の先輩居たよな」

「美人の先輩は居るけど・・・」

「ホラ居た!」

「違うってばおれは男子バレー部!!
そうだ!お前ら入んない!?」

「え――女子ん中に混ざるのはチョット・・・」

「いやあでもアリじゃね??女s「だから男子なんだってば!!」


「・・・じゃ走り行くよーっ」

「ハーイ!」

「(女子がロードワーク行った!コート使うチャンス!)イズミン!トス上げてトス!今休憩中だろ!?」

「翔ちゃん!?は!?トス!?無理無理やったことないもん!」

「投げるので!投げるのでいいからっ!スパイク打ちたいけど1人じゃできないんだよォ」

「ダメだって!」

「また自主練付き合うからさぁ!」

「でも先輩見てるし・・・」

「集合ーッ」

「お おース!」


「お前さー、試合に出らんないのによく練習やれるよなァ」

「しっ試合には出るんだよ!そのうち!人集めてさ!今んトコフラレっぱなしだけど・・・今に必ず!」

「ふ――ん」

「コージーどぉ!?」

「おれは何回断ればいいんだ・・・」

中学2年  春──

「マ、ネージャー?!」

「そうだ
やめとけっていったんだがなぁ……」

「しかも、めっちゃ美人の転校生……
ぅわぁ゙ぁぁぁ」

『!?!?』

「泣くな日向!!」

「な゙いてばぜん!!」

「今ので足元に水溜まり出来たぞ!?」


そして―――

中学3年  春──

「えっ一年生・・・さん・・・にん・・・??」

『豊作豊作♪♪』

「ホレ、小学校で少しやってたそうだ」

「うわあああや゛ったあああ」

「!?何泣いてる日向!?」

『し、翔陽!?』

「泣いてばぜんっ!!」

「号泣に見えるが!?」



やっと、試合に出れたんだ!!

「行けえ翔ちゃん!!!」

グンッ

「「「うおっ!?」」」

「「行けっ」」

「(!?飛んだっ・・・!ハッタリじゃなかった!!)クロス側締めろっ」

「!」

ガガンッ

日向の打ったボールは綺麗に弾かれる

『惜しい!!
ドンマイ、翔陽!!』

「―――!?う、うん!!」

「あチャー・・・捕まったか!」

「でも・・・凄え跳んだな」

「しょ・・・翔ちゃんドンマイ!!」

「!!ゴ・・・ゴメンせっかく上がったのに!次は決めるから!」

「前前ッ」

「ナイスカバー!」

北川第一
22

雪ヶ丘
07

「うわ〜・・・見てて可哀想になってくるな〜・・・」

「1セット目も北一が圧勝で獲ったろ」

「上がった」

「翔ちゃん!」

「日向さん」

「(――壁=@試合前よりもっとデカく見える・・・向こう側が全然見えない)」

ドドッ

「ああっ・・・」

「あいたーっまた捕まったーっ!!でもあの1番ギュンギュンよく動くなァ!!色々ヘタクソだけど!あれで身長があればなぁぁ!!」

「うん後は・・・雪ヶ丘にちゃんとしたセッターが居たら、あの1番ももっと活きるんだろうけどなあ」

「でも初心者の寄せ集めみたいなメンバーをよく1人で支えてるよあの1番
逆に――影山は周りの恵まれた面子をイマイチ活かしきれてないよな
影山個人の力は申し分ないハズなのに
まるで――独りで戦ってるみたいだ」

「くっ・・・」

「もっと速く!!」

「!チッ」

「今日も相変わらずのムチャブリトスだな・・・」

「相手のブロックなんて居ないも同然なのに何をマジになってんだよ・・・」

「!じゃあお前らが本気でやるのはいつだよ!?決勝か!?」

「止せ!試合中だ!」

「・・・・・」

ドッ

「うわっ」

「おっしまたサービスエース!」

「まだだ」


日向はボールを追いかける

「いや〜そのボールは無理でしょ〜」

「(まだ落ちてないまだ落ちてない!)」

「・・・・・」

「アレはムリだろー」

「(まだ・・・)」

『選手が必死にボールを追いかける理由は只1つ……』

日向はもう少し、と言うところで取れず、壁にぶつかる

「うわ痛そーっ」

「ガンバるねェ〜!」

「(コイツ・・・)」

ピッ

「これで北川第一マッチポイント!!」

「雪ヶ丘崖っぷちだ!!」

「くっそォ〜」

「あのっ・・・スミマセン僕・・・」

「ゴメン次はとる!」

「!ぁ・・・あのっ・・・!」

「?」

「け・・・怪我とかしちゃってもアレだし・・・・・・正直勝てる相手じゃないし・・・・・なんで・・・そこまで・・・・」

「えっ!!?」

麗奈は日向が立ち上がるのに手を貸す

「・・・そりゃそうだ
後輩にあんな事言われちゃって・・・」

「でも確かになんであそこまで・・・俺なら戦意喪失するなー」

「・・・・・」

「え―――っと・・・えぇ〜?」

「・・・・・」

「よくわかんないけど・・・でも・・・」

「『まだ負けてないよ?』」

負けない限り、試合は続くんだ

でも、負けたらそこで終わり

それを翔陽はよくわかってる

だから、どんなボールでも取りに行くんだ

「―――!!!
(――そうだ
単純なことだどんなに難しいボールだろうが、追う理由はひとつ
まだコートにボールは落ちていないから
どんな劣勢だろうが戦い続ける理由はひとつ
まだ負けてないから)」

ドガガッ

「ワンタッチ!!」

「触った!カバーだ!!」

「(・・・こりゃとれないな・・・)」

「最後まで追えよ!!」

「!?わ・・・悪い・・・(なんだよいつもよりピリピリしてんな・・・)」

「勝負がついてないのに気ィ抜いてんじゃねえよ!!」

「(お前は監督かっつーの)わかってるけどさ・・・この点差がひっくり返るような奇跡は無いd「今の1点は奇跡じゃない
獲られたんだ
アイツに!点を!!獲られたんだよ!!」

影山は日向を指さして叫ぶ

「いや・・・まあ・・・そりゃそうなんだけどさ・・・」

諦めさえしなきゃ……


「(アイツは本気で言ってるんだ・・・!!)」

「・・・・・」

「・・・確かに雪中の1番は奮闘しているが、崖っぷちなのは変わらず・・・どうする雪ヶ丘・・・」

「コージーナイッサー」

「ネットイン!落ちるぞ前前っ」

「くっ・・・」

「チャンスボールだ!泉さん!!」

「よっしゃ!」

「翔ちゃん頼―――・・・あっ(!?やべぇ!すっぽ抜けた!!)」

「(トスミス!?反則はとられてない
でも、そっちには誰も居ない!!!)」

「(――ハズだった)!?」

「(それは ほんの 一瞬き
今、左に居たハズなのに
マークしていたハズなのに

なんで・・・
なんで 右に 居る!?)」

ドシッ

どっしゃーん!!

「うわぁ!?翔ちゃん!!」

『翔陽!!』

「マジか!!打ったよアイツ・・・!」

「驚いたな・・・」

「あんなムチャブリトスを・・・!」


「翔ちゃん大丈夫か!?」

「あ・・・・今のスパイク・・・アウト・・・・?」

ピピーッ!!

―――試合終了

  勝者:北川第一中学


「うわ――っ最後のは惜しかったな――っ」


「あぁ・・・でも見てみろよ。北川第一の連中、大差で勝った奴らの顔じゃないよなあ」

「(無理な体勢から片足で踏み切ってあのジャンプ・・・?目で追うだけで精一杯だった)」

「一本くらい・・・マグレだろ」

「(――そうだ今のは完全にセッターのミスだった。バックトスなんて予測してたわけがない。
――にも拘わらず打てたのか?あいつはあのトスに反応できるのか・・・?)」

「・・・翔ちゃん・・・整列・・・」

「・・・・・・・」

「(・・・高い運動能力、反射、自分の身体を操るセンス
そして勝利への執着
それらを持っていながら)お前は3年間 何やってたんだ!?」

『飛雄!?』

「!!なんだと!!!」

「やめとけって!」

「(中学 最初で最後の公式戦
獲得セット数 0
総試合時間 わずか 31分
後から聞いたそいつの名前、影山 飛雄
コート上の王様=j」
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