こねこどこのこ?
□こねこどこのこ?@
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「みー、遅くなってごめんな」
「みぁ!」
そう。こいつのためだ。
コンビニの近くの空き地に住む灰色のこねこ。
にぼしを持っていくと嬉しそうに駆け寄ってくる。
その姿はなんともいえないかわいさで。
最近何事もうまくいかないおれの唯一の憩いの場となっているのだ。
そろそろアラサーの仲間入りという年齢の男が夜遅くの空き地でこねこにいやされる図(しかも名前までつけて…)は、はっきりいって不振極まりない。
出来ることなら、家に連れて帰ってどっぷり甘やかしたいものだが、あいにくおれの住むマンションはペット禁止だ。
「ごめんな…」
そう呟いて、ぼろ雑巾のように汚れた額にそっと口付ける。
「みぃ〜…」
すると言葉を理解したかのように悲しげな声をあげる。
でもすぐ元気を取り戻し、満腹になったのかごろんと仰向けになった。
勝手な想像かもしれないが、それがおれを励ましているように感じられて。
「…ありがとな」
お腹をさすってやり、喉をかいてやった後、おれは今度こそ帰路についた。