日溜まり
□日溜まり 3つ
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〜仮面視点〜
正直、僕らはクラスで孤立していた。
仕方ないと思うよ?お面で顔を隠してる僕と顔半分が包帯ぐるぐる巻きの瑚蝶。どっちもおかしな人だもんね。
「仮面様、お昼はどうなさいますか?」
「食堂にも売店にも人が多いだろうね……」
教室だけでも視線が痛いのに、これ以上人の多いところに行って視線を向けられたくない。それは瑚蝶も一緒だろうし……
屋上とか人少ないかな?
「屋上行く?」
「そうですね。ここよりは視線は集まらないと思います」
そんな感じで屋上へ来たわけなんだけど、颯爽に退散した方がいいのかな?
「なんだなんだ?可笑しなカップルが来たなぁ」
明らかに不良なのが分かる男子生徒3人が僕達を睨み付けてくる。瑚蝶に被害がいかない内に移動しよう。
と、思ったんだけど……
「仮面様を侮辱することは許しません。訂正することをおすすめいたします」
「あ゛あ!?」
あろうことか、瑚蝶は相手に喧嘩を売ったのだ。
これには僕も驚いたよ。
「瑚蝶、僕は気にしてないから別の場所に行こう?」
「ですが……」
小声で移動を促すと、瑚蝶は渋々ながらも移動を始めた。
後ろの不良たちも不服だろうけど、女の子を傷つけるまで根性は腐ってないようで安心した。僕だって瑚蝶を馬鹿にした言い方に少し反応したけど、それよりも先に瑚蝶が怒鳴ってくれて冷静な対応ができた訳だ。
僕のことで怒ってくれるなんてなんだか嬉しい。
「瑚蝶、ありがとね」
瑚蝶は小首を傾げているけど僕はお礼を言いたかっただけだから、理由なんて言わないよ。ただ、笑ってもう一度「ありがと」って言ったら瑚蝶は少し怒ったような顔をした。
「お礼を言うのはこちらの方です。仮面様が止めてくださらなかったら傷害事件になっておりました。ありがとうございます」
感謝されてるはずなのに、なんだか怒られてるみたいな感じがする。
「仮面様はおかしなお方ですが、とても素晴らしいお方です。何もしらないあの方々に馬鹿にされるようなところなんて、今のところございません」
「……ありがと」