日溜まり
□日溜まり 2つ
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2つ
〜夕凪視点〜
散らかっている部屋で私は近江さんと向き合っている。近江さんは23歳で学園長をしている。尊敬できるような大人だ。けど、今の私はあからさまに嫌な顔をしていると思う。
「早く帰りたいから颯爽に話を進めなさい」
私は男が苦手なのだ。男と話すのも必要最低限にしている。
今は、この近江さんの呼び出しだったからこうして出向いただけで、他の教員からの呼び出しなら出向かなかった。
「いやぁ、私は今夜にでも旅立つから言っておこうかなって……」
「……なにを?」
近江さんには放浪癖がある。だから、近江さんが学園長を務めている?この学校は、近江さんの従弟である教頭が運営してると言っていい。教頭も男だけど、普通に話せるから不思議。
「拾ってきたんだ。一応、今日は寮の方に行くけど、私の家に来ることになるだろうね」
「猫か犬を拾ってくる心の広さが貴方にもあったのね。その心の広さを苦労している堀本さんにも使ってあげなさい」
ほんとに、教頭である堀本さんに使ってあげてほしいわ。まだ、21歳なのにあんなに苦労してたら結婚する前に恋愛ができないわよ……その前に過労死するかもしれないわ。
「梓なら大丈夫だよ。私が毎日、電話して愚痴っていうよりお説教を聞いてるから。それよりも、拾ってきたのは、人間だよ♪女の子と男の子」
「誘拐するまで腐ってたなんて……これだから、男は……」
「別に、誘拐じゃないもん」
唇を尖らせたって可愛くないわよ!貴方、自分がいくつかわかってんの!?とか思ったけど言ってしまったら、話がずれるからここは我慢ね……
「あの子たちが望んだことだよ……まっ、今はどっちも普通科で新聞部の取材を受けてるから、あとは梓と頑張ってねぇ」
近江さんが座っていた椅子ごとどこかに消えてしまった。驚いて、近江さんがいた辺りを探ったけど何もなかった。
とりあえず、今日はなにもしなくてよさそうね。