日溜まり
□日溜まり 1つ
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1つ
〜仮面視点〜
放課後。僕は、赤い髪が特徴的な蘖 瑚蝶という同級生になった女の子と一緒に新聞部の取材を受けることになった訳なのだが……
はっきり言って怖い。
赤い髪はまだいいよ?染めたとかそんな理由とかがあるだろうけど、赤い左目に顔の半分を隠してる白い包帯はなんなんだ!?
包帯とか生々しいよ…で、でも、ゴシックファッションとかそんなのかも!?
きっと、そうだっ!そうに違いない!
「ぁ…えっ…と、蘖先輩の髪は染めてらっしゃるんですか?」
僕と同じように怖がっていた新聞部の西尾とか言う男の子が引きつった笑顔を浮かべながら、震える声で質問を始めた。
「……いえ、地毛です」
地毛が赤って赤毛のアンか何かなのか!?それよりも、無愛想だなっ!!
西尾くん、今にも泣きそうだよ!
「み、右目は…お怪我でもされたのですか?」
「これは……」
蘖さんは包帯の上からそっと右目を撫でて、黙ってしまった。しばらくして、西尾くんが呼びかけると驚いたように目を見開いた顔をしていた。
それから、すぐに元の愛想のない顔に戻って、これまた愛想のない口調で質問に答えた。
「まぁ、怪我ですね……」
うわぁ……意味深な回答だなぁ……
まず、話が盛り上がらないよね…
「そ、それじゃあ、仮面先輩に質問しますね?」
盛り上がらない会話にネタも尽きたのか、西尾くんは僕に視線を移してきたからニッコリと笑い返した。
西尾くんの頬が少し赤くなったのは気のせいかな?
「仮面というお名前は本名ではないと思うのですが、どうなんでしょうか?」
やっぱり気になるよね。
うーん……どう答えればいいのかな…?
「そうだね…本名ではないけど、本名だよ?今はね」
「事情とかお聞きしても?」
「しないでほしいかな」
「ですよね……それでは、仮面先輩は何故、お面をしているのですか?」
そこも気になるよね…
西尾くんが言う通り、僕はある事情があって素顔を隠している。そして、隠すためにお面を使っている訳だ。
「素顔を見せられないからだよ。これも、事情は聞かないでほしい」
「お2人は秘密が多いようですね……それでは、最後に“翼をください”についてツッコんでください」
いきなりだなっ!!
翼をくださいってあの有名な曲だよね?どう、ツッコむべきかな…
僕がそんなことを真剣に考えていたら蘖さんがダラダラと話始めた。