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□大義名分
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【大義名分】



 昼間から何となくお酒が飲みたくなったから、コンビニエンスストアに行って、その足で公園に行って、幼稚園なのか小学校低学年生なのか解らないけれど子供が遊んでいるのに、「いい大人」の俺は、ぼんやりベンチに座って、プルトップを開けた。
 子供がわあわあきゃあきゃあ騒いでいるのをBGMにして、温くなりかけているビールに口をつけた。案の定、あんまり美味しくない。
 何となく飲みたかったお酒は何となくもう飲みたくなくなったけれど、捨てるのは勿体ないからちょっとずつ飲んだ。余計に美味しくない。やっぱり昼間から酒なんてよくなかった。昼間からの酒の大義名分は、正月と花見と冠婚葬祭だけかぁ。と思いながら空を仰ぐと、いつのまにいたのか恋人が俺を見下ろしていた。

「! 吃驚した!何、お前。」
「恋人。」
「そうじゃなくて、何で気配消してんの?!」

 心底驚いていると、驚かそうと思ったから〜、なんてのんびり答える。

「昼間からお酒なんて『いい大人』のすることじゃないよね。」
「うん、俺も今そう思ってた。」

 笑いながら、共犯になる?なんて缶ビールを差し出すと、それを受取って残りをくっと飲み干した。

「まっずッ!ぬるッ!」
 きゅっと眉間に皺を寄せる。うんエロい。

「共犯者だな。」
「あーあ、昼間っからねぇ?」
 くすくすと笑い合う。子供たちの喚声をBGMに。

「じゃあ、此れも共犯、ね?」
「ん?」

 キス。嗚呼、何やってんの。子供たちの保護者に見られたらどうすんのさ。破廉恥だなぁ。って今時、破廉恥とか言わないか。
 そうだ、俺たちきっと酔ったんだ。なあんだ、じゃあ、さあ?

「お前さぁ。」
「何?」
「ホント、可愛いね。」
「ありがとーございますー。」

 にやにや笑う。嗚呼、もう子供たちの喚声も聞こえやしない。

「続き、したいから帰りません?」
「ふふ、名案。」

 君と帰る俺の部屋。始まる享楽。
 大義名分は愛し合う俺たちで問題なし。

Fin.

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