言の葉

□CD未収録(5)
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【泣き黒子】




溶け出したかき氷を
飲み干した日曜日の
時が止まりそうな夕暮れに
二つの影が揺れる

手鏡を覗いては
左目の黒子が
泣いてるようで気に入らないのと
恨めしそうに呟いてる

そんな会話を交わす日々に
二人のアルバムは増えていく
その目元を隠すように
目深に被った麦藁帽





恥ずかしそうにしながら
浴衣に着替えたら
妙に大人びて物憂げな
表情も似合うけど

君が微笑んだ時の
八重歯が可愛いから
いつも笑っていてくれないかな
泣き黒子の愛しい人

積み重ねた季節の数
もう独りぼっちには戻れない
夏の風とじゃれ合うように
仲良く泳いだ鯉のぼり





さあ微笑んで愛しい人

悲しい夜に胸が暴れて
塞ぎ込んだこともあるけれど
振り返れば小さなことさ
僕の隣りには君がいる

寄り添いながら眠りにつく
花火も消えた朧月夜
夏の風に耳を澄ませば
ビルの谷間に風鈴の音





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