古いモノをお望み?
□離した君の体温が、少し名残惜しく感じた。
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「猫さん猫さーん!」
後ろの方から声が聞こえる。
声の主は、僕らのアリスの何よりも大切な存在。
…僕にとっても、何よりも大切な愛しい存在。
「猫さーん!
…ハァ…やっと追いついた……」
「どうしたんだい?
慌てるのは良くないよ。」
いつから走って追いかけてきてたんだろう…。
走ってきた所為で乱れた髪を直してやり、少し赤く染まっている柔らかい頬に手を添える。
「ありがと。」
照れたような笑顔を浮かべてる君。
…本当に、愛しいと思う。
アリスのものじゃなくて、僕のものにしてしまおうかと思ってしまうくらいに。
だけどそんなことはしないよ。
だって、君はそんなことを望んでいないだろう?
悲しい顔はしてほしくないからね。
「お姉ちゃんが猫さんを捜してるの。
だから呼びに来たんだよ。」
「そう…分かったよ。」
もう少しこの温もりを感じていたいけど…
アリスが僕を呼んでいるのなら仕方がないね。
離した君の体温が、少し名残惜しく感じた。
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