古いモノをお望み?
□キミを繋ぎ止めておけるなら、手段は選ばないよ。
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「…スマ…」
キミが名前を呼ぶ。
「なぁに?」
いつもと変わらない笑顔でそう答える。
キミは伏し目がちになって、長い睫を震わした。
……分かってるよ。
キミが求めてるコトバは、こんな返事じゃないってコト。
…でも言わない。
言ってしまったら、それが最後になるから。
ぼくはいつだってキミが離れていくことを拒んでる。
「…ねえ、スマ…」
最後の言葉を言う前に、その唇を塞いだ。
ヒドイ男だよね、ぼくって。
キミを繋ぎ止めておく為に、こんなズルイ手段をとるなんて。
「…愛してるよ。」
これは束縛の囁き。
キミが、ぼくの腕からすり抜けていかないようにする為の、ね…。
キミはただ、ぼくの腕の中で涙を流していた。
キミを繋ぎ止めておけるなら、手段は選ばないよ。
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