刑事の間

□君、かわいいね
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 花井や浅野達とも初見を終え、何とか二課に馴染んできたある日。
 梨桜はいつも通り由羅の隣で書類の整頓をしていると、突然ドアが開いて能天気な声が届いてきた。

 「やっほ〜」
 「何しに来た」

 能天気な声にすかさず冷たいツッコミを入れた桐沢に、梨桜はキョトンとして顔を上げる。
 桐沢の前に、品の良さそうな淡い色合いのスーツに身を包んだ、見覚えのない男性が優雅に立っていた。

 「洋クン相変わらず冷たいね〜?俺と会えて嬉しくないの〜?」
 「お前が此処に来るときは、大抵面倒な事件を押し付けにくるか合コンの話だろ。
 良い知らせなんかこれっぽっちもねえからな。」
 「あはは。そうかもね〜」

 ―何というか、間延びする口調の人だなぁ…―

 ニコニコと、何を考えているのか分からない。
 梨桜は、桐沢と会話している男性を観察しつつ、由羅の裾を引っ張ってこっそり聞いてみた。

 「…由羅先輩…あの人は…?」
 「ああ…梨桜ちゃん初めて見るんだっけ?あの人は―――」
 「あれ〜?由羅ちゃん、その子どうしたの〜?」

 由羅の言葉と重なるように、先程の男性がのんびりした口調で話しかけてきた。
 思わず男性に目を向けると、ばっちり視線が交じり合って硬直してしまう。
 そんな梨桜にふわりと微笑みを浮かべると、男性はゆっくりとした足取りで此方に近付いてきた。
 目の前にやって来た彼を、きょとんとした顔で見上げる梨桜。

 「…へー…君かわいいね〜」

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