刑事の間
□君、かわいいね
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女性に連れられてやって来たドアの上には『特命二課』と書かれていた。
女性は当然のようにそのドアを開け、中に入っていく。少女も慌てて後を追いかけて中に入ると、なかなかイケメンな男性が三人滞在していた。
「おはようございます」
「あ、おはよう由羅ちゃん」
由羅と呼ばれた女性の挨拶に素早く返した男性は、人懐っこい笑顔を浮かべている。
「あれ、天王寺さんたちは?」
「つい先ほど捜査に出掛けましたよ。すれ違いませんでしたか?」
凄い速さで情報処理をしている眼鏡の男性が、顔を上げて答える。
それから由羅の後ろに居る少女に目を向け、首を傾げた。
「…おや、そちらの可愛らしいお嬢さんは?」
「は、始めまして!七瀬梨桜です!」
梨桜と名乗った少女は、緊張した面持ちでビシッとお辞儀をした。
眼鏡の男性は情報処理を一旦止め、まじまじと梨桜の頭から足の爪先までを無遠慮に眺め回す。
それから口の端を上げ、ニコリと笑みを浮かべた。
「…ふむ、90点。」
「わぉ!90点って、今までの最高得点じゃないですか!?」
「ええ、幼い容姿に異様な魅力を感じます。
素晴らしくイイ線をいってますね。とてもそそられます」
眼鏡の男性と人懐っこい男性の会話の意味が分からず、梨桜が小首を傾げていると
「てちょっと!もしかして私の4点って、100点中4点だったんですか!?」
と、由羅が声を上げた。
「当たり前じゃないですか。
まさか5点満点中の4点だなんておこがましい事を考えていたんですか?
とんだ自信家ですね。残念な人だ。」
笑顔でサラリと毒舌を放つ眼鏡の男性に、由羅は腕まくりをして睨み付ける。
「…なんだか凄く暴れたい気分…!!良いですよね桐沢さん!?」
これまで傍観していた咥え煙草が印象的な男性が、由羅に突然話を振られて苦笑いを浮かべる。
「朝から元気な奴だな黒木は。
悪いがその有り余った元気は、今日の捜査に使ってくれねぇか?」
「あ…あのぉ…」
由羅達のやり取りを眺めていた梨桜が、控えめに口を挟んだ。
それにより四人の視線が一斉に梨桜へと集中する。
四人の視線を受け止めながら、梨桜は背筋を伸ばし、口を開いた。
「…えっと、今日から特命二課に異動辞令を頂きました、七瀬梨桜と申します。
まだまだ未熟者ですが、先輩方。どうかご指導よろしくお願いします!」
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