短編1

□賽は投げられた。
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この勝負、君が勝つか僕が勝つか







「雲雀、雲雀」


「五月蠅い」


「ごめんね雲雀」


「何が?」


笑みとは言えない笑みを浮かべて彼女を鋭く睨むと、細く小さい彼女の身体はビクリと震えた。


「雲雀、ごめん……私…」


「恭弥、でしょ?そんな簡単なことも忘れたの?」


トンファーを取り出して振りかざすのも面倒だと足で彼女の身体のすぐ横にある机を蹴り飛ばした。


「でも……私もぅ…」


「死にたい?」


今度はためらわずトンファーを喉元に突きつけた。
彼女の呼吸に合わせてトンファーにやわらかな感触。
浅くて速い呼吸に、おかしくて笑える。


そんなに恐がるなら、離れるなんて言わなきゃ良いんだよ。


ましてや他の男を好きになるなんて許さないから。




(どうやって彼女をつなぎ止めよう)(どうやって彼から逃げだそう)
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