◆緑の書◆
□第1話:二人の出会い
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「はうぅ!?やっぱり登れない!?」
少年は絶対に登れない崖に奮闘していた。その訳は……。
「ガルルルル。」
少年は崖の上で遊んでいたが、足を滑らせたのだ。かすり傷一つもないのは、野犬の死骸が全てを語っていた。仲間を殺され(事故ではあるが)怒り心頭の様子である。
「うぅ、崖下が“領域(テリトリー)”外だったなんて、園長先生早く来て〜!!」
そんな事を言っているうちに野犬達が一斉に飛び掛かった。
「ひっ!?」
少年は“死ぬ時は一瞬だ。せめて痛みが短く済むように”と祈っていた。しかし、痛みは一向にやってこなかった。おそるおそる目を開けると。
「あれ?」
野犬達は周りにのびていた。
「大丈夫かい?」
離れた位置で納刀している人が声を掛けて来た。少年はその後ろ姿をずっと眺めていた。
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