理屈じゃない

□意志か意地か【Will】
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「嫌です」

一片の躊躇も見せず、きっぱりと言われた。



意志か意地か
【Will】



監督から呼び出しを食らった。
忍足は面倒臭そうに音楽室に行く為に階段をのぼる。どうせ大した用事ではないだろうとは思うが忍足の足は心持ち重い。
次の階の踊り場に見覚えのある薄茶の頭を発見して、忍足はつい彼を呼んだ。

「日吉やないか」

彼は立ち止まって、しばらくしてから振り返った。こちらに向き直った表情は無愛想で、しかし律義に挨拶をしてくる。

「忍足先輩……こんにちは。何か用ですか」
「監督んとこ行くんやけど、ちょお付いてきてくれへん?」
「お断りします」
「なして!?」
「図書室に用事があるので」

一人で行くのは気が重かったので軽く誘ってみるが、いきなりさっくりと断られた。理由を反射的に聞いたが、またもさっくり返される。

「本借りに行くんやったら暇やろ!?」

日吉は目を瞑って大きく溜め息をついた。

「用事があれば暇ではないでしょう……樺地か鳳を誘ったらどうですか」
「あかん、樺地誘ったのバレたら跡部に睨まれるわ。鳳は宍戸のとこに付いてったやろ」
「つまりまだ二人には頼んでないんですね?」

言い訳がましく言うと、じろりと睨まれる。その通りだ。

「せやけど……日吉に付いてきて欲しいんやもん」

可愛くない後輩の代わりに、忍足的に可愛らしく言ってみるが、煽てても無駄です、むしろその言い方気持ち悪いですと後輩はにべもなく切り捨てた。

「俺は既にお断りしましたから。どうせなら駄目元で玉砕してきたらどうですか」
「結局駄目やんか!」
「ええ、ですから一人で行く他ないんじゃないですかと言っているつもりなんですが」

日吉は表情を変えない。少し薄笑いを浮かべたように見えたのは忍足の被害者意識のせいだろうか。

「ちょっとだけやからええやん。先輩命令や」
「嫌です。横暴です」

二人は踊り場で声を段々荒げていく。誰もそこを通りかからないのは幸か不幸か。
お互い意地になってきているな、と忍足は頭の片隅で思った。





最初は自分の意志で選んだけれど、最終的には意地になった。みたいな。
おったりはあんま懐かれてない気がする。
自覚はあると思う。だって心閉じるんだぜ(関係ない)

つか短いし適当っぽくてすみませ……(滝汗)



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