捧げ物

□やきもちやき
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それを目にした瞬間、美鶴は歩きだした。亘の元へ。

「亘!」

少し大きめの声で呼ぶ。呼ばれた亘は驚いて反応する。

「っ…美鶴!?」

美鶴の顔を見て、亘は更に驚いた。その表情は明らかに怒りを持ったものだったから。

「あ…えっと僕…」
「………な」
「えっ?」

亘が聞き返すと、美鶴は亘の腕を強く引っ張った。

「痛っ…美鶴、何!?」
「…………」

美鶴は答えない。周りのクラスメートもただ見守る事しか出来ない。

「なん…だよっ……」

亘が少し涙目になる。これは、美鶴の中の鬼畜な心が好きな顔。

「みつっ…」
「笑うなよ。俺以外に」
「へ?」

間抜けな声を出したのは亘。驚いているのは皆。

「お前の笑顔も泣き顔も、全部俺だけに向いてて欲しいんだ」

亘の腕を掴みながら、美鶴がどこか辛そうに言う。

「美鶴……」
「なンだよ、そういう事だったワケ?」

亘が口を開いたかと思ったら、克美があまりにも場違いな声をあげた。
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