捧げ物
□君ノ香リ
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かぐわしきもの。
だいすきなんだ。
*君ノ香リ*
「…足りない」
「なにが?」
いきなり呟く美鶴。亘が疑問を持つのは当然の事。
そんな疑問にも美鶴はスパッと答える。
「亘」
「僕は一人しかいないからそんな事言われても…」
こんな事でもしっかり悩んでしまうのが亘。
あれこれ亘が考えを廻らせてる内に、美鶴は二人の距離を縮める。
「補給させて」
そう言うと、美鶴はぎゅうと亘を抱きしめた。
「みつっ、くすぐったいよ」
「…ん」
亘の髪へと顔を埋め、どこと無く幸せそうな声を出す。
「…もう」
呆れたような声を出しつつ美鶴の胸に顔を埋める亘。
「僕も美鶴補給するっ」
亘は抱きしめ返す。美鶴が強く抱きしめるように、強く。
「…亘」
「なに?」
抱きしめ、顔を埋めたまま美鶴がボソッと言う。
「なんか甘い匂いする」
「えぇー?」
「あと、太陽の匂い」
「そんなのするかな?」
軽く空想を巡らすが、特に何か思いつく訳ではなくて。