捧げ物
□離れてまた近づいて
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初めから、友達になればいいと思った。
-離れてまた近づいて-
美鶴が僕を忘れてた。それを知ったのは、幻界から帰って初めて会った時。
その日からずっと、毎日美鶴に会いに行ってる。
小さな希望を持ちながら。
「芦川!」
「…なんだ、また来たのか三谷」
「僕が来ちゃいけないのかよ」
「そんな訳じゃないけど…」
「ならいいじゃん」
美鶴はいつも、こんな反応ばっかり。
「…用は?」
「あ、そうだった」
言われて思い出した。
「一緒に帰ろう」
…返事がない。ダメかな?
なんか難しい顔して考えこみだしちゃった。
「………」
「あ、芦川。ムリだったらさ…」
「いや、いい」
僕の顔をじっと見てくる美鶴がいる。
「大丈夫だ、帰れる」
「…ホントに?」
「こんな事で嘘ついたって何にもならないだろ」
そう言った後に、小さなため息を付け足された。
「…絶対だからな!」
つい大きな声が出たけど、別に気にしない。
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