捧げ物

□離れてまた近づいて
1ページ/5ページ


初めから、友達になればいいと思った。


-離れてまた近づいて-


美鶴が僕を忘れてた。それを知ったのは、幻界から帰って初めて会った時。

その日からずっと、毎日美鶴に会いに行ってる。
小さな希望を持ちながら。

「芦川!」
「…なんだ、また来たのか三谷」
「僕が来ちゃいけないのかよ」
「そんな訳じゃないけど…」
「ならいいじゃん」

美鶴はいつも、こんな反応ばっかり。

「…用は?」
「あ、そうだった」

言われて思い出した。

「一緒に帰ろう」

…返事がない。ダメかな?
なんか難しい顔して考えこみだしちゃった。

「………」
「あ、芦川。ムリだったらさ…」
「いや、いい」

僕の顔をじっと見てくる美鶴がいる。

「大丈夫だ、帰れる」
「…ホントに?」
「こんな事で嘘ついたって何にもならないだろ」

そう言った後に、小さなため息を付け足された。

「…絶対だからな!」

つい大きな声が出たけど、別に気にしない。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ