捧げ物
□至近距離
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*至近距離*
「ねぇ美鶴…」
「………」
「顔近くない?」
亘の部屋で、亘から始まった言葉。
言葉の通り、二人の距離は近い。ピッタリと美鶴が亘に張り付いている状態。
亘がその事を口に出し、やっと美鶴が口を開く。
「亘」
「な……」
何?と亘が言おうとした時、美鶴はその口を塞いだ。
手は亘の頬に添えている。
「んん!?…っ……///」
必死になって美鶴を引きはがし、真っ赤になりながら手で口を覆い隠す亘。
「な、何するんだよ!?」
「亘の顔があったから」
美鶴がきっぱりと、さも当たり前の様に言い切った。
「あったからって…」
「…嫌、だったか?」
少し切なそうな表情を浮かべた美鶴。それを見た亘は、頬を朱に染めながら否定の言葉を言った。
「別に嫌、じゃ……寧ろ…嬉しい…って、そうじゃなくて!」
「嫌じゃないんだろ?」
「う……それは…」
たじろぐ亘に、美鶴はからかう様な声で言う。
「じゃあいいだろ」