頂き物

□愛があれば
1ページ/4ページ

[愛があれば]



――キーンコーン



授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒が待ち望んでいた放課後になった。
あたしは急いで、バッグに教科書を詰め込む。



「香桜ちゃーん。」



――ざわっ



あたしの名を呼ぶ声に、教室中がざわめき立つ。特に、女の子の声が響いた。



「きゃー!」

「ファイ先輩ー!」

「かっこいいー!」



教室の入り口に現れたのは、ファイ先輩。綺麗な金髪に蒼い瞳、すらりとした長身に甘いマスク。そして誰もを魅了する笑み。
学校で知らない人はいない、有名人なの。



「いいなー、香桜。ファイ先輩の彼女なんて。」

「えへへ。」



友達があたしを肘で小突いてきた。


そう。あたしとファイ先輩は先輩と後輩だけの関係じゃない。
彼氏と彼女、つまりは恋人。


あたしはバッグを持ち、入り口まで小走りで行った。



「ファイ先輩、お待たせしました。」

「大丈夫だよー。じゃあ、帰ろっか。」



――ちゅ



あたしの手を取り、キスを一つ落とすファイ先輩。教室中から声があがった。



「香桜、いいなー。」

「そういうのはよそでお願いしまーす。」

「ファイ先輩、香桜ちゃんが真っ赤になってますよー!」



こうやって冷やかされるのは、あたし達が学校中の公認だってこと。



「あははー。じゃあねー。」

「みんな、バイバイ。」



手を繋いで教室を出るあたし達。
こんな風に認めてくれる人が大勢いても、反対に納得いかない人もいるみたいで‥‥‥
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ