頂き物
□愛があれば
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[愛があれば]
――キーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒が待ち望んでいた放課後になった。
あたしは急いで、バッグに教科書を詰め込む。
「香桜ちゃーん。」
――ざわっ
あたしの名を呼ぶ声に、教室中がざわめき立つ。特に、女の子の声が響いた。
「きゃー!」
「ファイ先輩ー!」
「かっこいいー!」
教室の入り口に現れたのは、ファイ先輩。綺麗な金髪に蒼い瞳、すらりとした長身に甘いマスク。そして誰もを魅了する笑み。
学校で知らない人はいない、有名人なの。
「いいなー、香桜。ファイ先輩の彼女なんて。」
「えへへ。」
友達があたしを肘で小突いてきた。
そう。あたしとファイ先輩は先輩と後輩だけの関係じゃない。
彼氏と彼女、つまりは恋人。
あたしはバッグを持ち、入り口まで小走りで行った。
「ファイ先輩、お待たせしました。」
「大丈夫だよー。じゃあ、帰ろっか。」
――ちゅ
あたしの手を取り、キスを一つ落とすファイ先輩。教室中から声があがった。
「香桜、いいなー。」
「そういうのはよそでお願いしまーす。」
「ファイ先輩、香桜ちゃんが真っ赤になってますよー!」
こうやって冷やかされるのは、あたし達が学校中の公認だってこと。
「あははー。じゃあねー。」
「みんな、バイバイ。」
手を繋いで教室を出るあたし達。
こんな風に認めてくれる人が大勢いても、反対に納得いかない人もいるみたいで‥‥‥