本2

□シリアス1
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降り立った星は砂と海が一面に広がった
綺麗な星だった。

動けないことを背負い、
日に弱いため木陰に二人で座る。


「綺麗だね。」

海を見つめ、漣の音を聞く。

「なんだかお腹いっぱいになるね。」

この景色をことと見れた。
とてもきれいな景色を。

「ん、俺最近寝てなかったから眠たくなってきたな。」

どのくらい星を回ったんだろうね。

「あり、なんで喋らないの?」

隣にいることの手を握る。

「細いなぁ。あははは。」

一向に握り返さない繋がれた手。

「…なんで。言わなかったの。」

ぽつりぽつりと神威は言う。

「経穴って、動けないうえに毒なんてあるんでしょ。」


「いくら俺らが夜兎でも、大量の毒は死んじゃうんだよ。」


「なんで、助けを呼ばなかったの。意地っ張り。」

ぎゅっと握れば、パキッと乾いた音が鳴った。
そしてまた漣の音を聞く。


「もう、眠いや。」


目を瞑ろうとした。

『神威ー!』

声がした。
確かに声がした。

『こっち、気持ちいいよー!!』
「っ、こと!?」

目を開ければ、そこには確かにいる。
海に足をつけ、笑いながら見ていることが。

「なんで…っ」

フラフラと、おぼつかない足取りで海へと歩いて行く。

「前が、見えないよ…こと…」
『何泣いてんの?ほら、手っ、繋いであげる!!』
「嫌だ…それだけじゃ嫌だ…」
『ふふ、神威の甘えんぼ。』

ぎゅっと抱きしめられ、神威は深い安息へと着いた。
もう、離さない。
二人の重なった影が、夕日に照らされ。
それは夜になると影になり、消えて行った。












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