けんもほろろ

□八 屯所
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屯所に着くと、山崎さんが待ってくれていた。

「あれ、車は?」
『沖田さんが電柱にぶつけました。』
「…。なんで旦那たちがいるの?」
『勝手についてきました。』
「…大丈夫だった?」

山崎さんは奴を見てこそっと私に聞いた。
山崎さんだけなんじゃないかな。
私と奴のことを心配してくれるのって。

『今日は特に。でも何があるかわからないので頑張ります。』
「何をがんばるかわかんないけど、宴会になったら俺のとこにおいで。旦那ほとんど土方さんか局長のとこにしかいないからさ。」

山崎さんはきっと天使なんだろう。
本気で思ったよ。
でも山崎さんの所に居たら沖田さん来るじゃん。

『…昨日みたいに無理やり飲まされるのは嫌ですからね!』
「あはは。ちゃんと注意しておくよ。」
『お願いします。じゃぁ私宴会の準備手伝ってきますね。』

厨房へと向かい、女中さんと一緒に食事の準備をする。
宴会場からお酒―と聞こえるので
とりあえず先にお酒持っていくかと
お盆に沢山のコップと、焼酎瓶を小脇に抱え向かう。

『あまり飲みすぎないでくださいね。もうすぐ料理もできるんで先に始めててください。』

近藤さんにそう言うと、わかったと頭を撫でてくれる。
心がほっこりする瞬間だ。

『じゃぁまた後で…』
「酌。」
『は…』

腕を掴まれた。
奴に。

『…あの、準備が…』
「馬鹿なの?男に酌してもらったって美味しくねェンだよ。こうゆうのは女がしないとだめなの。神楽は…うんあれだから。しかたないからお前でいいよ。」
「万事屋。そんな言い方は…」
『言われればそうですね。じゃぁみんなにお酌してからもどります。』

言い方はあれだが、それもそうだなと一人ずつお酌していった。
全員に次ぎ終わると、また呼ばれる。
しまった。厨房に戻れない…
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