けんもほろろ
□七 正月
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「旦那ぁ。つきやしたぜ。」
「ちょっと待ってて。忘れ物取ってくるから。」
「は?」
万事屋の前に車を止めると、奴は忘れ物と行って車を降りて行った。
沖田さんは首をかしげながら階段を上がって行く奴を見ている。
「お前なんか忘れ物したの?」
『…あ!重箱!!』
なんだ、優しいなと思っていたら
奴は戻ってきた。
手ぶらで。
「よっしゃぁー!いっぱい食べて食いつぶしてやるアル!!」
「すみません。僕たちも招いてもらって。」
「せめぇな。おい神楽。お前マヨの上に座れ。
」
「嫌アル!!どうせならさよの上がいいネ!」
『別にいいけど…』
あれぇぇぇ?
忘れ物って、この二人の事!?
いやいいけど!!
いいけど重箱は!?
『重箱…』
「あぁん?そんなもん今度持ってかせるから早く行こうぜ!」
『あ、はい…』
助手席に座っていた私の膝に、神楽ちゃんが座り、
後ろで土方さんと奴が喧嘩しているのを横目に
なんだか不思議な気持ちになりつつ
車は動き出した。
あぁ、何も起こらなければいいんだけど。