けんもほろろ

□伍 喪失
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「…ってぇ。」
『!大丈夫!?』

目を開け、起き上がった。
奴の頭からはまだ血が流れていた。

「…あれ。誰?」
『は?いやいいよそんな冗談。今タクシー呼ぶから病院に行こう!?』

こんな時に余裕だなおい。
タクシーがすんなり捕まったので奴と一緒に乗り込み
病院へと向かった。
なんでこんな奴介抱しなきゃいけないんだと思ったけど、
私を庇ってくれたんだ。
病院に着くと、すぐ診察室に連れて行かれ、
私は部屋の外で待っていた。
その間に、土方さんに連絡を取り、
万事屋に電話を入れてくれると言ってくれた。
私そういや近藤さんと土方さんの番号しか知らないや。
今度新八君に番号聞いとこう。

「付き添いの方ですか?お話があるのでどうぞこちらへ。」
『はい。』

先生に呼ばれ診察室へとはいった。
奴はぼーっとベッドに座っている。
めちゃくちゃ包帯巻かれてんじゃん。

『何か異常ありましたか?』
「傷自体はそれほど大したことじゃないんですけどね…その、記憶が。」
『記憶?』
「一時的なものと思いますけど。」

記憶喪失?
奴を見ると私をじっと見ている。
こいつが記憶喪失!?

「軽い方ですよ。ただあなたの…」
「銀ちゃん!!!大丈夫アルか!?」
「また記憶喪失ってあんた何回記憶なくせば気が済むんですか!!!」

勢いよくドアが開き、新八君、神楽ちゃんが飛び込んできた。

「うるっせぇな。俺がいつ記憶なくしたってんだよ。」
「あれ、思ったよりいつもの銀さんですね。」
「さよにお礼言うアル!!病院まで連れてきてもらったんだろ!!」
「だから、それ誰?」
『え…』
「…あなたの事を知らないと言うんです。」

神様が私の願いを聞いてくれたのかと正直思った。
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