けんもほろろ
□壱 出遭
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「…あ、」
『どうも…』
女の子は銀ちゃーんと叫びながらまた奥へと行ってしまった。
昨日は不審者扱いされてたからきっと報告しに行ったのかな。
やっぱり江戸で私は独り立ちできないんだと思った。
『あのっ!私もういいんで!!長谷川さんありがとうございました!!!』
聞こえるよう大きい声で言い、足を動かした。
さて、これからどこへ行こうか。
また歩き続けていれば、きっと私を迎えてくれるところはあるだろう。
「待ってください!!」
『…私?』
階段を下りて声をかけられた方を見る。
眼鏡をかけた男の子がこっちにこいと手招きしている。
『でも…』
「いいところ紹介できますよ!!!」
『!!』
急いで二階へと上がり、言われるがまま部屋へと通してもらった。
「こちらに座ってください。」
ソファに座らされ、隣に長谷川さんが座った。
長谷川さんが私の身の上を話してくれたみたいで、
女の子はグズグズと泣いていた。
「さよちゃん。銀さんが紹介してくれるって。よかったな!」
『ありがとうございます!!昨晩はすみませんでした!!』
「いいよ。それより長谷川さん。紹介料貰ったら飲みに行こうぜ。」
「そうだな!!ところで働くところってどこ?」
「風俗とかじゃないでしょうね。」
「いやいや。ちゃんとしたところだよ。」
それじゃぁ行こうかと言われ、みんなで万事屋さんを出た。