けんもほろろ

□壱 出遭
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広い公園に着いた。
人はまだいるものの、段ボールとか、ベンチに寝転がっている人たちがいる。
これだけ人がいれば、私が混じったって大丈夫だろうと
公園を歩き回る。

「銀ちゃん。お腹空いたネ。今日酢昆布一枚しか食べてないアル。」
「一枚食ってたら十分だ。ほら帰るぞ。」
「それより明日の仕事どうするんですか。このままじゃ今月、先月より酷いことになりますよ!!」

すれ違った三人組。
なにやらあの人たちも仕事を探しているようだ。
あの人凄いな。
子供二人も抱えて無職だなんて。

「あのな、万事屋ってのはな。こう…でけぇ仕事が来るまでたいてい暇ってことなんだよ。いい加減わかれよ新八ぃ。」
「今まででかい仕事とかなかった気がするんですけど。」
「解決してもお金貰ったことないアル。」
「神楽ちゃん…それ言っちゃおしまいだよ。」

万事屋?
万事屋っていろんなジャンルのお仕事をするところだよね?
話が気になり、つい後をつけてしまう。

「…おい。誰だよあの女。」
「見たことないですね。新しい人かな?」
「服めちゃ汚いアルよ。」
「なぁんかめんどくさそうだな。おい、一気に走るぞ。」

『あっ!』

話を聞こうとしたら三人は走って行ってしまった。
あーぁ、仕事できる場所、紹介してもらおうかと思ったのに。
三人が見えなくなったのでまた公園へと戻り、
ベンチに座って江戸の空を眺めた。
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