大好き!!

□道 最終章
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六月。
骨折した人がやってきた。
引き継ぎなんてすることないのに
何かないですかとか言うからいろいろ教えたよ。

『あそこの木はね、クワガタが来るんだ。見て。今朝取ったの。』
「すごいっすね!!!」
「アホかー!!何を教えよんじゃ!!!」

農作業だよ、農作業とじぃちゃんに怒られたので
適当に教えた。

『冬はね、そこの脇道から入った所にフキノトウがあるんだ。』
「うまいんすか?」
『天ぷらが美味しかったよ!!三軒隣のばぁちゃんがよく採れるとこ教えてくれるよ!!』

教えることはいい所ばっかりだった。
農作業なんてすればわかるけど
山はわかんないだろ!!!

『私来週江戸に帰るけど、それまでにいっぱい教えるね!!あ、釣りはしたことないからわかんないから
そこの下った所から二件目のじぃちゃんとこ行ったらいろいろ教えてくれるから!』
「すごいっすね。友達いっぱいっすね。」

まぁなとドヤ顔で偉そうにした。

「クワガタでけぇぇぇ。女の子なのに掴めるんっすね。」
『うん!もう虫も蛇も平気だよ!!』

なんともたくましい女になったもんだと自分に感動した。
このまま江戸に戻ってもゴキブリくらいじゃもうびびんねぇだろうなと思った。
そろそろ働こうかとじぃちゃんに言われたので
その日新人君に農作業のノウハウを教えることになった。
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