けんもほろろ

□拾語 自覚
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「さよこれ出してきて。」
『はぁい。』

お遣いを再開してしばらくが経った。
ポストへ手紙を投函して
その後歌舞伎町をブラブラする。
スナックの前へと行くと、例の奴がいる。

『こんにちわ。』
「おう。相変わらず不細工な顔してんな。」
『銀さんも相変わらず死んだ魚の目ですよね。』

こんなやりとりを交わすのは、
私の想い人的な奴。
坂田銀時さんです。

「あー、腹減った。」
『そうですか。何か食べたらいいじゃないですか。』
「お前は。」
『出る前に食べてきたんで。』

最初と違い、少し変わったことがある。
私が嫌味を言う様になってしまった。
こんなはずじゃないんだ。
一緒にお団子でも食べますかって言えればいいんだけど
何分今まで言われてきた厭味を返すかのようにポロっと言ってしまう。

「可愛くねぇな。」
『そうですね。』
「はい、また次不細工なこと言ったら団子な。」
『…。』

でも奴も何かが変わった。
普通なのだ。

いや、厭味なんだろうけど、
慣れてしまった私がいるからなんだけど、
こうして私の隣を歩いてくれる。

「で、お遣いは終わったの。」
『まぁ。ポストに投函するだけなんで。子供でも出来ますよね。』
「そりゃ大串君聞いたら怒るよ。」
『慣れました。それよりいつまでついてくるんですか。私もう屯所に帰るんですけど。』
「はーい。団子屋決行―。」
『は!?普通に返したんですけど!!』
「ん。団子三本。」
『ちょっと。話聞いてますか?帰るんですけど!』
「パフェ追加。お前ね、俺の話聞いてた?不細工なこと言ったら団子って言ったよね。」
『パフェは聞いてないですけどね!!』
「明日も団子だなこれ。」
『…。』

こんなやり取りでさえ喜んでいる私がいたりする。
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