けんもほろろ
□壱弐 育毛
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『沖田さんどうですか。』
「おー、似合ってやすぜぃ。」
天人襲撃事件から二日後。
私は町はずれにあるビルへと行き、
髪を切った。
坊主って言ってたけど、髪長かったし、坊主までしなくていいやと言われたので
髪を切ってきました。
二人で話してた時に言われたんだけどね。
「それカツラですかぃ?」
『地毛です。』
「本当にぃ?」
そう言って沖田さんは私の髪を引っ張り始めた。
痛い。すごく痛い。
「…よかったですねぃ。みんなカツラ用意して待ってやすぜぃ。」
『まじですか。』
「もうすぐ朝礼なんで終わった時部屋に入ってきなせぇ。俺が呼ぶんで。」
『大丈夫なんですか。騒動になったりしません?』
「みんなの前で地毛って言えば何回も同じこと言わずに済みまさぁ。」
『それもそうですね。』
沖田さんにしては珍しくまともな提案だなと感心した。
「また俺が引っ張って地毛ってのを証明してやりまさぁ。」
『…強く引っ張らないでくださいよ。』