けんもほろろ

□伍 喪失
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お昼過ぎ。
土方さんにお使いを頼まれた。

『…いったいどこにあるんだポスト。』

手紙を投函して来いと言われ屯所を出たんだけど、
かれこれ1時間は探しています。
自転車で行けばよかったと後悔している。
そこら辺にあると思ってたからね。
どこにもないよ赤いポスト。
歩きつかれたので近くの団子屋で休憩を取ることにした。

『…さむ。』

季節は12月である。
まだ雪は降ってないものの
足元にできた水たまりは薄く氷が張っている。

『中に入ろうかな。』

なにも外で食べることはないだろうと今更気付き、立ち上がった。

「…小豆。」
『は?』

ふと声をかけられ嫌な予感がした。

「小豆の着物に小豆のマフラー。妖怪小豆。」
『マフラーはどっからどう見ても赤なんですけどね。』

座りなおし、奴を見る。
あぁなんでこうも会っちゃうのかな。

「お前目腐ってんな。どこをどう見たら赤なんだよ。」
『土方さんが赤って言ってたんでマフラーです。あなたの目が腐ってるんじゃないですか?』
「今日は言い返すんだな。」

なぜか私の隣に座り、お団子を食べている。
待て。
それ私のお団子じゃないか。
何勝手に食べてるんだよ。
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