けんもほろろ
□参 拒絶
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奴は怠そうに外へと出てきた。
神楽ちゃんに殴られたのか顔が腫れている。
「なんだよ。俺今忙しいんだよ。」
「無職が忙しいわけねぇだろ。」
「…なんでこいつ連れてきたの。知ってて連れてきてる?ドМなの?それとも大串君がドSなの?」
「ドМでもドSでもねぇよ。おい。なんでてめぇはさよに対してそんな態度とんだよ。泣かして楽しいのかよ。」
土方さんはまだ私の腕を離してくれない。
この場から逃げたいのに。
「楽しいってか本心しか言ってないよ。」
『土方さん!!帰りましょう!!!』
「てめぇ…ぶっ殺す!!!」
「とし!!」
土方さんが私の腕を離した。
その瞬間私は走った。
後ろから名前を呼ぶ声が聞こえるけど、
そんなのどうでもいい。
あいつの声が聞こえない所に行きたい!!
「あーらら。ほら連れてこない方がいいって言ったじゃん。」
「最低だな。てめぇは。」
「とし、もう帰ろう!こんなことしてもさよちゃんは嬉しくないよ!!」
「そうですぜぃ。金輪際旦那には会わねェよう言っておくのが得策ですぜぃ。」
「ちっ!」
「俺だって顔も見たくねぇよ。用が終わったならさっさと帰ってくんない。」
「ーっ!!」
「とし!!!万事屋。てめぇにはいろいろ助けてもらったが、もう会うことはねぇかもな。」
近藤は土方を車へと押し込み、坂田と目を合わせることなく車を出させた。
「…あんたらちょっとムキになりすぎですぜぃ。」
「あぁ、すまんな。」
「さよはどっちに行った。」
「多分公園でさぁ。」