いつわり短編

□甘い?苦い?
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キラキラキラキラ。

12月ではない、この2月の半ば。
珍しいことに、学校の外は白いものが散らついていた。


「雪、止まないな……」


この前の席替えで、運良く手に入れた、この一番後ろの一番窓側の席……いわゆる、皆が狙う神席に座って、ガヤガヤと煩い昼休みをのんびりと…閨は一人で過ごしていた。


「おい、イチゴミルク買って来たぞ」


購買に行っていた蝶左が、片手に持っていたピンク色の紙パックを閨に渡す。


「お、さんきゅー。今回は蝶左の奢りね」
「はぁ?この前もそんなこと言ってたじゃねーかよ」


蝶左は、冬になると、家の食べ物が飼っているデカイ鳥(確か名前は、烏頭目とか言っていた)に喰われるからと言う謎な理由で昼食を持参しない。

その為、閨はよく購買に行く蝶左に好物のイチゴミルクを買って来てもらう。
…半分以上は蝶左に奢ってもらって……無理矢理奢らせているが。


「ちっ、ばれたか」
「バレバレなワケ……ったく。今度マックでなんか奢れよ」
「わかったわかった。一緒に行ってスマイルだけ頼んで帰ろうな」
「お前なめてるだろ……」
「え?なんのことかなー?」


チュー…と、待ちに待った好物をゆっくりと喉に通す。

その瞬間、口内に広がる甘ったるい味に、閨は頬を緩ます。


「そんな甘ったるいもん、よくもまぁ毎日飲めるよな」
「蝶左の味覚がおかしいだけじゃない?ボクはこの甘ったるい味が好きなんだもん」
「お前の味覚がおかしいんじゃねぇのか?」


蝶左は眉間に皺を寄せながら、自分の好物となる…こちらは閨の飲むイチゴミルクとはちょっと違う、苦甘となるだろうカフェオレを口にした。


「…うん。やっぱりカフェオレだな」
「蝶左きもー」
「え、何急に、カフェオレなめんなコラ」
「そんなもの、舐めたくもないね」
「そっちの舐めるじゃねーよ!……ったく、そんなにカフェオレバカにすんなら、一口飲んでみろよ」
「…え…」


ズイッと、何食わぬ顔で、既に己の口で飲んだであろうカフェオレを、蝶左は目を丸くする閨に近づける。


「…ねぇ、これ、どういう意味か分かってんの?」
「は?…意味も何も、一口味見ってことだけど……」
「いや、そうじゃなくてさ……」


「間接キスって知らない?」など、閨には到底言えず、自分の目の前で止まるカフェオレに動けずにいた。

そんな閨を不思議に思ったのか、蝶左は心配そうな顔で閨を見つめる。


「大丈夫か?なんか顔赤いし、固まってるけど………」
「え、あ、…べ、別に大丈夫だけど……」
「そうか?…なら良いんだけど……」


蝶左の目が閨を外れると同時に、閨の前に出されていたカフェオレも引き下がって行った。

それを見た閨は、心底かなり安心した様子で、ホッと深呼吸した。


「あ、忘れてた」
「え……」


突然蝶左が呟き、イチゴミルクを持っている方の手を引っ張られると、チュー…と…自分がさっきイチゴミルクを飲むときに出した、あの音が響いたと同時に、イチゴミルクが減る感じが閨の手で起こった。


「…うぇ、甘ったる…」


べっ、と下を出しながら顔を歪ませる蝶左は、目の前で硬直する閨を見てニンマリ笑うと、「ごっそーさん」と閨の耳元で囁いた。




「ちっ、蝶左の、くそったれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


窓から見える真っ白い雪に抵抗するかの様に、閨の顔は真っ赤に染まった。











































ボクっ子ねーちゃん萌えぇぇぇ←
しかも初蝶閨がボクっ子とかぁぁぁぁ!!
あかん!爆笑

まぁ、いわゆる、間接キスしやがったんです、蝶左ちゃんは。
蝶左、今すぐ空に謝れ。←ぇ

実は最初、この話のCPは薬×閨だった、まる。

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