いつわり短編

□この冷えた世界で
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ふわりふわふわ。
空中に舞う透明の風船。

すなわち、シャボン玉。



そんなものに目が奪われて、知らぬ間に動いた足が導いたのは、綺麗な桜色をした髪を持つ少女の元。

目元あたりまで…深めに被られた黒いフードから、時折見える紅い瞳に、ワシは不覚にもときめく。


「シャボン玉なんて懐かしいもん、どこで手に入れたんや?」


当たり障りない、些細な言葉を並べて、一人壁の隅に座る閨の隣に腰を下ろすと、チラリとこちらを見る紅い瞳とかちあって、思わずワシは顔をそらす。


「…たまたま部屋ん中掃除してたら、古いダンボール見つけて、覗いて見たらあった」
「…ふーん」


プカプカと、まるでタバコの煙みたいに、次々と空を泳ぐシャボン玉を見ていたら、なんだか眠くなってきた。


「なぁ、それ、ワシにもやらせてや」
「…やだ」
「えー、ケチー」
「関節キスなら烏頭目っちとやんなよ。ボクは君と関節キスなんてゴメンだし」


淡々と、これまたシャボン玉と同じ様な勢いで発される閨の言葉にも、もう大分慣れた。
無愛想で、冷たくて、でも、どこか優しさが隠れた彼女の言葉。


言葉なんて一部にすぎなくて、ワシは、彼女の全てを知り、それに慣れに慣れて、今じゃ彼女が側にいないだけですぐに孤独を感じるくらいになった。


「…ねーちゃん、ワシな「ねーちゃん呼びは禁止」……閨が好きや」
「…それさ、昨日も聞いた」
「ええやん。毎日言えるくらいワシは閨が好きなんやし、な?」


ポスン……

そろそろ睡魔が瞼を襲ってきたところで、ワシは隣に座る閨の肩にゆっくりと自分の頭を寄りかからせる。

微かな振動でも、フードから少しだけ零れる髪からは甘い、優しい香りが風に揺れて、ワシはそれだけで、もう夢の中に落ちそうだった。


「…何ちゃっかり、頭乗っけてだよ……」
「嫌ならどかせばええやん」
「………別に、嫌じゃ、ない…し……」
「うん、素直素直、ええ子やな〜」
「っ、バカにするなッ!!」


閉じた瞼の裏では、きっと閨が、この、青い機械尽くしの国には不似合いな赤色を、あの柔らかい頬に浮かべているのだろう。


「閨」
「なんだよ……」
「おやすみ、愛してる…」
「……おやすみ、空」


冷えきったこの国で、温もりを求め様なんて、そんな大それた願いはしないから、せめて、今だけは……君が側にいることを実感させて。

































































僕っ子ねーちゃんねーちゃん萌えぇぇぇぇ!!←
空ちんもちょいキャラ変え。

この話は、私が頭の中で考えるパロディで、現パロでも学パロでも無い、ちょっと変わったパロですした。
ちなみに、ねーちゃんの髪は肩ぐらいの長さです。

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