いつわり短編

□細くても立派な男の子
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とある日の朝のこと。


たまたま見えた。


…いや、見えてしまったと言った方が正しい。
幾分正しい。
まぁ、別に見えたことで特に問題は無いのだが。



目の前で着替えていた(勿論上半身のみ)空の、とてもとても……そう、まるで女性の様な細いお腹回り。

まぁ、見た目からして、かなりの細身だとはわかっていたけれど……
それにしても細かった。
筋肉が程よくついて、それでいて細い。
予想を上回る細さ。
女の自分よりも細い気がして…


恋人になって初めて見た彼の身体に内心トキメキと、その身体に対する嫉妬から、私は、つい思ったことを口にしてしまった。


「空さんって……女の子みたいな体してますわね……」
「は?」


寝巻きで着ていた白いスウェットから、お気に入りの黒いロングTシャツに腕を通そうとしていたのを止め、空さんは眉間に皺を寄せたまま、フカフカのベッドに座る私を見てきた。


「羨ましいですわぁ〜…お腹がそれだけ細いなら、きっと腰も細いですわよね?……私、空さんより絶対太いですわ…」
「………そうなんか」
「はい…全く、嫌になっちゃいますわ」


私的には軽い冗談に、ちょっとした皮肉をこめた言い方をしてみた。
ほんと、特に考えず。

……しかし、その時、閨を見ていた空の顔が、かなりの怒りと微かな悲しみが混ざっていることに閨は全然気づいておらず……そのまま、平然と口を動かした。


「空さん、女の子だったら絶対モテますわよ?…スタイルの良い女子は基本男の人の目を引きますし…」
「…………そうなんか」
「そうですわよ…私なんて、毎日毎日食べる量とか気にしているのに………ほんと、羨ましいですわ」


哀れな自分自身に嘲笑うような笑みを浮かべていると、フッと、自分に当たっていた部屋の光が何かに遮られるのがわかった。
続いて鳴る、ベッドが軋む音。


「……?」


不思議に思い、もたげていた頭を持ち上げる。


ー…その瞬間、目の前にはある筈が無い肌色が視界に入る。

閨は悲鳴をあげた。


「ヒッ!!…っう、空さん裸っ!!!」


閨の目の前には、先程のまま、白いスウェットを脱いだまま、結局黒いロングTシャツには着替えていない状態の、つまり上半身裸の空が膝立ちのまま居た。
膝立ちのまま、閨を黙ったまま見つめると、ゆっくりと閨の顔の両隣に片方ずつ手を置いて、グイッと顔を近づける。

二人の距離は僅か5センチ満たない程。
閨の顔が自然と赤くなる。


「……ねーちゃんって、ほんまにワシを男やと思っとるか?」
「え、そんな、だって空さんは男の人ですわよね?」
「せやなぁ……、一応は男としておるけど、もしもワシがほんまは女や言うたらどないする?」
「え………お、んな?ってことは……おかま!!?」


急な近距離に頭を沸騰させている閨の思考には、既にまともな考えが浮かぶことは無く。
…一度吹き出した後、直様ニヤニヤと、しかし、その笑みには怒りを残した感じがまだ現れている空は、徐々に行動をし始めている訳で。


「女やったら、ねーちゃんよりも腰が細くても文句は言えへんけど……」


そう言いながら、空は閨の首辺りに顔を埋める。

わざと吐かれる小さな息に、閨はピクリと体を震わす。


「う、空さん、離れて、くださいっ」
「やだ」
「やだって、そ、んなっ……ひゃぅッ!?」


いつのまにやら……
空は、閨の太ももを服の上から、いやらしい手つきで撫でていた。


「ねーちゃんよりもワシの腰が細かったら女の子?いやいや……てか、ワシが女の子とか考えただけで気持ち悪いわ」
「え、ちょ、何言って……の前に、何してr「ワシが女の子じゃないこと知るには、やっぱり実際に見て、比べるんが早いよなぁ?」」


太ももを触っていた手は、閨の着ている薄ピンクのパーカー内へと伸びる。


「っッ!!?な、な、なっ、空さん何して、ヒァっ!!」
「、(細っ!!!なんやねーちゃん、全然ワシより細いやないか!)」


服の下に隠されていた、閨の素肌を撫で回し、男と……空と比べても明らかに細いお腹回りと腰に空は正直興奮隠せず。

…空も考えてみれば年頃の男。
つまり普段エロに興味が無い空が興奮するのも、男の原理なのである。しかも相手は溺愛中の彼女。
普通の男なら、この時点で押し倒して、相手の女はあんあん、やんやんと啼いているだろう。
だから決して変態などではない。
そう、変態などではない。
大事な事だから二回言いました。


「ぃッ、やぁ、ちょっ、くすぐったいっ!」


腰やお腹を撫でられる感覚と恥ずかしさに、思わず閨が逃げるように体を捩れば、それを許さんばかりに空が閨の頬に軽いキスをする。
そうすれば閨が動かなくなるのは目に見えていて……。


「あ、の……空さん……」
「ねーちゃん、ワシを女の子とか言うた罰。今から思う存分ワシを楽しませぇや」
「は……罰?…楽し、むッ、」


赤だった頬が青に変わる瞬間、一気に反転する視界に閨は目を丸くし、目の前で瞼を閉じている糸目があることに閨は悲鳴をあげ……られる筈もなく、力を抜いた隙に入り込んできた熱い舌に翻弄される意識の中、閨は長い時間、空により甘い甘い声を漏らすハメになったのだった。































眠い!!←
17巻の表紙の空さんの腰のいやらしいところに鼻血吹っ飛ばしていた私と、友人Aの妄想。
この話の案も友人Aより。
空さん腰細いっ…笑

この後R指定書くつもりが、精神うっぷうっぷで死んだチーン。

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