いつわり短編

□大好きな君と…
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買い出し中、空の機嫌は頗る悪かった。




「あの、空さん」

「なんや、ねーちゃん」

「買い出し、一緒に来るの嫌でした?」

「そ、そんなことないでっ…ただ、なあ」




空の視線は蝶左に向いていて、蝶左はそれに気がついた




「(ああ…そーいうワケ)姉ちゃん」

「はい」

「買い出し、これで全部なワケ?」

「あ、はいっ」

「じゃあ、先に帰ってるわ」

「え?でも、量がっ」

「平気なワケ」




そう言うと蝶左は空を見やって、言葉は発さず口だけを動かし、2人を残して先に宿に戻っていった。




「(あとはごゆっくり、か蝶左のやつ…)ねーちゃん」

「はい?」

「ちょっと散歩せぇへんか?」

「お散歩ですか?」

「ここんとこ2人きりになった事ないやん」

「そう、ですわね」

「夕飯時になったら戻ればええし…あかんかな?」

「(空さんって時々子供っぽいとこがあるんですのよね)いいえ、お散歩しましょう。空さん」




空は笑顔になると閨と一緒に街中を歩き始めた。
 



「何処行こかぁ、ねーちゃん」

「そうですわね。当てもなくぶらぶら歩くのも…空さんと一緒なら楽しいですわ」

「ねーちゃん…」

「わ、私…なんかヘンな事言いました?」

「そんな事ないで」

「なら、いいんですけど」

「ねーちゃん」

「はい?」

「ワシ、ねーちゃんの事好きやで」

「…う、空さん」

「ねーちゃんは?」

「わ、私も…好き、です」




2人は少し照れくさそうにしながら言うと手を握り合い街中を歩いていった。




End
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