いつわり短編

□季節と共に…
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「………さっきの雪……ワシが投げたんやで…」
「え?」

唐突な言葉に、ビックリとした顔の閨とは対象的に、空は嬉しそうな顔をした……多分。

「……静かな夜やなぁ……」
「?……そうですわね…」

すると、空は髪を上げるために巻いていたバンダナを取り、閨の首に優しく巻き付けた。

「な…何するんですの!?」
「…………」

返事をせず、更に空は着ていた黒い上着を脱ぎ、閨に羽織らせた。

「……空さん?」
「…………」

またもや返事をしない空は、そのままゴロンと横になった。

「ちょ…空さんこれ……」
「防寒具や……お礼の変わりにここ貸してえや」
「お礼って……」

閨の眼下には、己の膝に頭を乗せる空の顔があった。

「………冬はええのぉ……」
「……あの…恥ずかしいですわこれ…」

だが、空はそのまま狸寝入りに入り、知らず知らずに閨も瞼を閉じていった。










「…………たまには野宿もええもんや……」














………冬………それは命が安らかに眠り、暖かさを求め、人達がより絆を深める静寂の季節……






-END-
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